以前にも、他紙に記事が掲載されていましたが、
日刊スポーツ紙面より
ここ数年、首都圏の劇場やホールの閉館・改修が相次いでいる。音楽ライブや演劇を行う施設が減少し、アーティスト、演奏家らは満足に公演ができない現状に危機感を募らせている。特に大きな会場の改修が今年に集中していることから「2016年問題」と呼ばれ、その影響は地方にも及ぶ。ライブ・エンタメ業界は我慢の時を迎えるが、施設のリニューアルは、東京五輪後の集客増に向け明るい材料との声もある。
このままでは表現の場がなくなってしまう-。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、首都圏で相次ぐ劇場、ホールの改修・閉館に、関係者は危機感を募らせている。今年、主な施設では2月に3万7000人収容のさいたまスーパーアリーナが改修のため3カ月閉館。1万7000人収容の横浜アリーナは今月から6カ月の工事休業に入った。
さいたまスーパーアリーナを所管する埼玉県の担当者によると、改修は建設当初から予定されており、他施設と重なったのは偶然という。ほかにも昨年以来、施設の老朽化などの理由で青山劇場(渋谷区)、ゆうぽうとホール(品川区)など1000~2000人規模の劇場も閉館している。
こうした動きに、昨年11月、日本芸能実演家団体協議会の会長で能楽師の野村萬氏、ロックバンド「サカナクション」のボーカル山口一郎らが会見を開き、事態の改善を訴えた。山口は「1万人の会場がなくなると、そのアーティストが5000人の会場を2日間使用する。すると5000人規模の会場を使っていたアーティストが2000人規模の会場を2~3日使う。玉突き的にライブハウスにも影響するかもしれない」と警鐘を鳴らした。
中でも影響が大きいのが、小規模劇場を主戦場にしている演劇、バレエなどだ。日本バレエ団連盟事務局長の小林恵美子さんは「これまで『ゆうぽうと』を多く使用してきたが、代わりの施設の予約がとりづらい。現在はどこに行こうかとさまよっている状態」。2016年に入った今、さらに悩みは深くなっている。
バレエで使用するのは主に1000~2000人規模の会場で、閉鎖や改修を行う施設の中にも多く含まれている。高い倍率の中、会場をようやく見つけても音響設備が入らなかったり、客席からバレエの演技が見づらかったりと問題は多いという。「我々にとって、この問題は今後も長く続いていくと思う」。集客力の比較的低い表現者ほど苦しむ構図。今後は遊休地に仮設劇場を建設する案などが出てきている。
音楽市場などを調査するぴあ総研の笹井裕子主任研究員は「首都圏でライブが開催できないと、地方にも影響を及ぼす」と話す。多くのアーティストは首都圏でのライブ売り上げを原資として地方公演をこなすからだ。スタッフや機材の交通費がまかなえず、中止となるケースが出てくる可能性もあるという。
一方では、東京五輪後の市場の伸びに期待する声もある。音楽関係者は「新しい国立競技場もできるし、改修が終わって施設がそろえば市場は今までの反動で活性化するだろう」と楽観的だ。五輪後には築地に4万人規模のスタジアムを建設する計画も明るい材料。施設の転換期と五輪開催のはざまで、音楽、演劇業界は我慢の時期を迎えている。【松尾幸之介】
中でも青山劇場には「東洋一」とうたわれた舞台装置がある。
全床スライド式の2面の主舞台を持ち、主舞台そのものが入れ替わる大胆な舞台転換ができる。
さらに大迫り(迫りとは床をくり抜き昇降装置を施した舞台機構)の上に、24基の小迫りが乗る。
意表をつくスペクタクルな演出が可能だっただけに非常に残念でならない( i _ i )
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