『ドン・キホーテ』は,自分を騎士だと思い込んだ男が,騎士としての冒険を繰り広げる物語である。
スペインのラ・マンチャ地方のある村に住んでいた50歳近くになる男は,騎士道物語をこよなく愛し,土地を売り払ってまで騎士道物語を集めては,年がら年じゅう朝から晩まで読みふけっていたが,そうしているうちに自分が騎士であると思い込むにいたった。そして,自らを騎士「ドン・キホーテ・ラ・マンチャ』と称し,古い鎧を引っ張り出し,やせ馬にロシナンテと名づけて,騎士道の旅に出る。
ドン・キホーテは,宿屋の主人を城主と思って騎士の叙任式を依頼し,羊の群れを合戦中の軍隊だといって参戦するために飛び込んでいくなど,行く先々でトラブルを起こして人々を困惑させながら滑稽でドタバタの冒険を繰り広げていく。風車を巨人と思って突進する場面は特に有名で,知っている人も多いだろう。
マドリード情報より
http://www.todomadrid.info/don-quijote-en-teatro-zaruzuela-en-madrid-2015-2016/
2016年は小説「ドン・キホーテ」の作者ミゲル・デ・セルバンテスの没後400年でもあり、スペインでも様々な記念イベントが行われるが、その記念イヤーの幕開けとなる年末年始にかけて、スペインのナショナル・ダンス・カンパニーによるバレエ「ドン・キホーテ」公演がマドリードのサルスエラ劇場で行われる。
バレエ「ドン・キホーテ」は、レオン・ミンクスの音楽に、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」などの振り付けを行ったマリウス・プティパによる古典バレエ作品であり、小説の後編19章から22章にかけての床屋の息子バジルと宿屋の娘キトリの恋物語をベースにしている。 この後編が出版されたのが1615年であることからも、2015年から2016年をまたいで上演するのに、相応しい演目だともいえる。
ドン・キホーテは狂言回し的な役割として登場し、原作の前編8章に登場する有名な風車に突撃する場面なども盛り込まれているほか、闘牛士やスペイン舞踊など、スペイン的なみどころも多い。
年末年始をマドリードで過ごす方は、特別の記念イヤーをドン・キホーテとともに迎えよう。