フィガロ ジャパンより http://feature.madamefigaro.jp/culture/150806ballet/
■ 音楽とダンス。2つの芸術を楽しめる舞台。
事の始まりは、1985年生まれの若手ピアニスト、ジョルジュ・ヴィラドムスがメキシコに2012年に設立した財団「Crescendo con la Musica Fondation」である。祖国の貧しい子どもたちにクラシック音楽を学ぶ機会を与えたい、というジョルジュの切なる願いの結実がこの財団。それを支援したいとエルヴェが希望したことから......。以下、エルヴェに語ってもらおう。
「3〜4年前に、スイスのガラに出演したときにジョルジュと知り合い、仲良くなりました。翌年、彼がパリでラジオ番組に出演したときに、芸術を通じて貧困の子どもたちを助ける彼の財団のことを話したんですね。僕も何か人道的な活動をしたいと思っていたのだけど、どうしたらいいかわらずにいた時でもあり、この話を聞いて、『まだ若いのにこうした事に自分の時間をかけられるって、なんてすごいことだろう!』って、すっかり感銘を受けました。この財団は小規模ゆえに、お金の行方も透明だし、結果もわかるということも気に入ったので、ぜひとも彼の財団の発展を支援したい! と。そこから、ジョルジュがピアノを演奏し、僕がバレエを踊る、というプロジェクトが生まれました。彼は僕が踊るときに弾くだけでなく、コンサート・アーチストとして独奏もします。ガラを開催して、メセナやスポンサーから資金を集めるのです」
「僕たちのチャリティー・ガラのタイトルは『Luz de Luna』。シューベルトを魅了し、歌曲作品をつくることになったヨハン・ガブリエル・ザイドルの詩『さすらい人が月に寄せる歌』からインスピレーションを得たものです。ジョルジュの友人のピアニスト、フィリップ・カサールと音楽とダンスのプロジェクトについて話した時に、複数の作品をまとめるには公演にテーマがあるのがいいというアドバイスがあって、これを提案されました。この詩から、月、夜、旅人を巡るさまざまな音楽的作品やアイデアが僕とジョルジュの頭に浮かんで......。昨夏にスイスで一種のプレ公演を行っていますが、昨秋のニューヨークのカーネギー・ホールでの公演が、このプロジェクトのオフィシャルな初演となりました。これには ヴァイオリニストのシャーリー・シエムも参加。今春ジュネーブで行った第2回目では、チェロ奏者のゴーティエ・カプソン、ダンサーのイザベル・シアラヴォラも加えて4名で開催しました。僕たちふたりによる音楽とダンスのプロジェクトということを基本にし、それをさまざまな形で発展させていきたいというのがスタート時からジョルジュと考えていることなんです。このプロジェクトに興味を持ってもらえ、日本でこうして『月夜に煌めくエトワール』を開催できることになったのは、とてもうれしいですね。ダンサー仲間でエトワールのマチュー・ガニオとドロテ・ジルベール、そしてヴァイオリニストの三浦文彰が加わって出演者は5名です。『Luz de Luna』と違ってチャリティー公演ではないですが、プログラムはやはり月、夜、旅人からインスパイアされた11作品で構成しました」
<東京> Bunkamuraオーチャードホール 2016年1月10日 18:00開演 2016年1月11日 15:00開演 前売り開始 2015年9月5日 ●問い合わせ先 Bunkamura チケットセンター Tel.03-3477-9999 (10:00~17:30)
『LUNA』 音楽:セルゲイ・ラフマニノフ「ヴォカリーズ」 振付:エルヴェ・モロー バレエ:エルヴェ・モロー ヴァイオリン:三浦文彰 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
リスト:『バラード 第2番 ロ短調』 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
『瀕死の白鳥』 音楽:カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」 振付:ミハイル・フォーキン バレエ:ドロテ・ジルベール ヴァイオリン:三浦文彰 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
サン=サーンス:『序奏とロンド・カプリチオーソ』 ヴァイオリン:三浦文彰 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
『タイトル未定』 音楽:アルヴォ・ペルト「鏡の中の鏡」 振付:パトリック・ド・バナ バレエ:エルヴェ・モロー&マチュー・ガニオ ヴァイオリン:三浦文彰 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
『月の光』 音楽:クロード・ドビュッシー 振付:イリ・ブベニチェク バレエ:エルヴェ・モロー ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
イザイ:『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』 ヴァイオリン:三浦文彰
『トリスタンとイゾルテ』よりパ・ド・ドゥ 音楽:リヒャルト・ワーグナー 振付:ジョルジオ・マンチーニ バレエ:ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ
『月の光のかたわらで』 音楽:フィリップ・グラス「エチュード第5番」 振付:バンジャマン・ミルピエ バレエ:エルヴェ・モロー ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
ポンセ:『メキシカン・バラード』 ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
『フィナーレ』 音楽:マヌエル・ポンセ 編曲:ギャスパール・グラウス「エストレリータ~小さな星~」 振付:エルヴェ・モロー